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「ワインは堅苦しくて。」
「気楽に飲めるビールが一番!」
「濡れた犬の香り?ソムリエの説明は分からない。」
「レストランなんて行かないし。」

よく聞くワインを避ける理由ですね。
あなたもこんな気持ち抱えたことってありませんか。
片田舎で育ち、洋食のマナーなんて知らずに育った私も、そう考える一人でした。

小中高と夢もないまま、なんとなく過ごし、就職難とか言われているし、とりあえず大学は
出ないと仕事もないんだろうなぁと、なんとか合格した大学。
親の脚にかじりついて生きる本当に平凡な人生だったと思います。

大学の入学式から数日が経ち、なにかアルバイトでもしようかと考えます。

「とりあえず学校に近いほうが楽そう。」

安易な理由から学校の周辺を探し始めました。
今までコンビニでのアルバイト経験しかなかった私には、
初めて通うことになった東京のお店はどれも敷居の高いものでした。

「やっぱりコンビニかなぁ。」と思いつつ表通りを見て回ると、
雑誌で読んだデザイナーの服を置いているセレクトショップや、
店内で手作りしている靴屋。きれいな食器を置いている店など、
今まで育ってきた環境にはなかった店に興味を惹かれます。

ひとしきり見て回った頃には、

「せっかく東京の学校に通ってるんだから、お洒落な店で働いてみたい。」

という気持ちに変わっていました。
単純な人間ですね (*´▽`)ゞ

「初めに気になったセレクトショップだ!」と
勝手に思い込み、控えてきた電話番号に問い合わせる。


「今は募集していないんです。」

一人で盛り上がっていた私は、募集の確認もせずに電話をかけていました。
落胆した翌日の学校帰り、気持ちも浮かないまま、
いつもより一本裏の通りを歩いていると、一軒のレストランが目に付きました。

ゆるい下り坂の雑多な町並みから、少し浮いた印象のその店は、
肩の高さほどの白いレンガの壁の上に、小さな赤い花が敷き詰められていて、
その一面が白い木枠の窓に覆われていました。

暗い店内を覗くと、テーブルにはナイフとフォークがきれいに並べられ、
白い壁に、こげ茶の板張りの床、奥に見えたカウンターには、
沢山のグラスが吊るされていました。

「こんなところで働いていたらかっこいいだろうな。」

単純ですみません δ(⌒〜⌒ι)

沈んでいた気持ちも忘れ、しばらく見入っていました。
入り口の方へ回るとスタッフ募集の張り紙が!
すぐに番号を控え、わくわくした気持ちで電車に乗りました。

家に着き、早速電話をかけてみると、

「では、明日面接をさせて頂きたいのですが、何時なら都合がよろしいですか?」

と、急な展開。GパンにTシャツが普段着の私は、何を着て面接を受ければよいものか
悩みましたが、結局スーツを来て学校に行く事にも気が引け、
いつもどおりの格好で面接に挑むことになりました。

翌日、指定の時間に緊張しながら扉を開けると

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」

と、一席だけナイフやフォークのセットがはずしてあったテーブルへ通される。

しばらくして、面接に現れた方はキャサリン・ゼタ=ジョーンズ似の美女!
店の雰囲気と、店長と思われる方の威圧感で何を話したのかも覚えていません。

なんとか面接を終えると、 その場で採用が決められ、
翌週から働かせて頂けることになりました。

翌週の初出勤。

もちろんボロボロです。
80席ほどある店内が、あっという間に満席になり、
Bar(バール : カウンター)を担当させて頂いていた私は、
ほとんど何も出来ずにグラスを磨いている時期がしばらく続きました。

休憩時間に牛乳を買ってきてカプチーノを作る練習や、
グラスを磨く練習、効率よく仕事を進めるためのイメージトレーニングなど
いろいろやってみましたが、なかなか成果はあがりません。
全然役に立てない日々が続き、申し訳ない気持ちばかりが溢れていました。

ただ、幸運なことにその店には、どんな作業もスマートにこなす
素晴らしい先輩がいました。
自分自身と仕事に対してとても厳しいのですが、ユーモアを忘れない方で、
仕事に向かう気持ち、商品知識の大切さ、スタッフへの気遣いなど
沢山のことを教えて頂きました。私が人生で初めて尊敬した方です。

ある程度Barの仕事がこなせるようになると、Sala(サーラ : ホール)へ出て、
直接お客様の接客が出来るようになります。また違う知識が必要なので
苦労はしましたが、先輩から教えて頂いたノウハウと、キッチンスタッフの
みなさんのご協力で、お客様に喜んで帰って頂けることもあるようになって来ました。

しばらくして、その先輩が常連として通っていたレストランに、勉強の為に
私も食事に出かけました。そのレストランは私がアルバイトさせて頂いていた店より
格が上の造りで、私が店に入ることも場違いな雰囲気でした。

恐る恐る店に入ると、

「こんにちは!ようこそ!」

と、気持ちのいい挨拶に不安な気持ちが吹き飛ばされます。
スタッフが、入店から食事中、帰りまでよくお客様の事を見ていて、
必要なタイミングで必要なものを出してくれます。

「こんなに気持ちいいサービスってあるんだ。」

と驚かされ、何度か通ううちに、このレストランに惹かれていくのが分かりました。
初めてこのレストランで食事をしてから半年後、わたしはこのレストランに就職します。

アルバイトの時の店とはサービスの方法も考え方も違うので、
ここでも沢山の壁にぶつかりました。
コースだけでなくアラカルトも扱っていたので、お客様一組一組の食事の流れを
把握する力が足りていなかったり、先輩と考え方でぶつかってしまったり、

「もうだめかもしれない。」

と考えたことも何度もありました。
またここでも人に助けられます。このレストランの店長は私のことを信じて、
沢山のことを教えてくれました。ホスピタリティ(お客様を思う気持ち)とは何なのか、
プロとして何をして、どんなプライドを持たなければならないのかなど、数え切れません。
店長と家族に何度も支えられ、何とかこのレストランでも仕事をこなして行けるようになりました。

しかし、ここでまた一つ問題が出てきます。
料理に関しては、作っている方がそばにいて頂けるおかげで、

「熊本の天草で捕れた天然の真鯛です。身がしまっていて食感がいいですし、
 旨味が強いんです。それに、少し磯の香りがして、これがハーブのソースに
 良く合うんですよ!ぜひ食べてみてください!」

とお勧めできるのですが、ワインに関しては

「DOCGというイタリアで最高の格付けを取っているんですよ!」

と説明したところで、お客様はそんな格付けを知らなかったり、興味がなかったりして
素晴らしいワインだとしても感動して頂けることはほとんどありませんでした。
レストランではお客様に感動して頂けなければ意味がありません。
何度も店長に

「お前は分かってない!」

と叱責され、悩みぬいた結果は簡単なものでした。

「料理と一緒で、"美味しそう"と感じてもらえればいいんだ。」

答えは簡単だったのですが、実行に移すのは生半可なものではありませんでした。
朝から夜中までの仕事の細かい隙間や通勤時間、休日などを使って、200種類を超える
レストランの在庫のワインの味わい、香り、
そして造り手がどんな努力をしているのかを調べる。

ダイエットにはいいかもしれません。痩せますよ!
\(・□・;)オイ!

出かける時間は取れないですし、月に5・6日の休日は疲れて半日は潰れていました。
そんな私を支えてくれた家族には、とても感謝しています。きっと家族がいなければ
挫折していたことでしょう。

そんな努力の結果、お客様が私に会いに来て下さる事も出てきたり、帰り際に

「ありがとう。楽しかったよ。」

と声をかけて頂ける機会も出てきました。
レストランで店長のすぐ下の立場を任せて頂けるようにもなりました。

それから時間が経ち、店長がレストランを退き、私も区切りをつけ、
今は以前から興味のあったIT関連の企業に転職していますが、
このレストラン時代の経験はとても貴重なものであったと思います。

料理もワインも、どんな味なのかを説明しただけでは、

「おいしい。」

で終わってしまいます。
そこに、なぜ美味しいのか、どんなドラマがあって生まれたものなのかを知ることで

「感動」

に変わっていくものだと思います。
出来る限り私も協力させて頂きます。
あなたも是非この感動を感じてみてください。


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