イエルマン Jermann

シルヴィオ･イエルマンさんはイタリアでトップクラスの白ワインの造り手として知られています。

イエルマンは曾おじいさんの代から、地域の典型的なワイン農家として、樽売りを続けてきました。
1980年代から、醸造学校を卒業したシルヴィオさんが本格的にカンティーナに関わるようになります。

彼が狙ったのは国際的に通用するワイン造り。
そのためには沢山の改革が必要でした。
まず、ワイン自体の品質を上げ、独自のブランドで瓶詰めし、販売する。
それまで、デイリーワインを樽ごと丸売りしていたカンティーナには、瓶詰めする技術はありません。
そこには多大な費用が必要で、もし失敗したらカンティーナ自体を潰しかねない、危険な賭けでした。

しかし彼には世界で通用するワインのイメージが出来上がっていました。
それまでの田舎っぽいワインを、シルヴィオさん自身のセンスでブレンドし、洗練された味わいを造り出す。
世界的に人気のある品種を使用し、国際的なイメージを作る。

数年後、彼のイメージは見事なまでに現実のものとなります。
イエルマンの看板ワイン「ドリームス」は、フランス発、世界中で栽培される人気品種のシャルドネを
バリックで熟成させた、滑らかで程よいコクのある、国際的な味わい。
そして、シルヴィオさんの感性が問われる「ヴィンテージ･トゥニーナ」。
複数の品種それぞれでワインを仕上げ、彼のセンスでブレンドします。
仕上がったワインは、とても滑らかで、少し甘味を感じる優しい味わい。
シルヴィオさんの造るワインは、どれも世界的に高い評価を受けます。

しかし、彼の改革はこんなところでは止まりません。
土地への愛着と、先祖への尊敬が根底にある彼は、世界での地位を確立した今、
土着品種や伝統的手法のワイン造りに取り組んでいます。
シャルドネやソーヴィニョン･ブランだけが素晴らしいワインを生むわけではありません。
昔からその土地で育てられてきたブドウは、数ある品種の中から土地にマッチしたものが生き残ってきたものです。
伝統的な手法に、シルヴィオさんのモダンなセンスが加わったなら、どんな結果が得られるのでしょう。
考えただけでワクワクしてきます。
これからに、更に期待が出来る造り手さんです。