ジャコモ・コンテルノ Giacomo Conterno

ジョバンニ･コンテルノさんは、ガイアさんやソルデラさんにも、
「バローロ最上の造り手」として認められています。

彼の造り出すワインは、

「伝統」

そのものです。
元々は、父から受け継いだこのカンティーナを弟のアルドさんと2人で守っていました。
しかし、伝統を頑なに守ろうとするジョバンニさんに対して、
アルドさんは、新しいものも良いものは取り込もうとする考えの持ち主でした。

この哲学の違いで決別した2人は、以後20年間口を利かなかったといいます。
それほどに2人とも頑なな人物で、その考えには自信とこだわりがあった事を感じさせます。

ジョバンニさんがワイン造りに関して、伝統と共に大切にしているのは「ブドウの質」です。

「悪いものから良いものは生まれない」

という、もっともな考えの下に、
丁寧に仕上げたブドウから、親から受け継いだ伝統的な手法でワインを造り続けます。

彼の守り続ける伝統的な醸造法は気の遠くなるような時間と、大変な手間のかかる作業です。
収穫したブドウを1ヶ月かけて、ゆっくりと潰し、余分な渋みを除いた純粋なジュースを造ります。

このジュースを、5週間かけて自然に任せた醗酵を行います。
自然に任せるといっても、一歩間違えればそれまで大変な労力をかけてきたものが、
何の価値も無いものになってしまいます。
自然に任せた醗酵には、長年の経験と、大変な集中力が注がれています。

そして、醗酵を済ませたワインは、樫の木で作られた大きな樽で7年以上熟成させて瓶詰めされます。
やはり、この樽熟成も、年月が掛かれば掛かるほどリスクが高くなります。
7年かけたものにカビの匂いでも付いてしまっていれば、とたんに価値は「0」です。

これだけの非常に大きなリスクを背負いながら、大変な手間をかけて自然なワインにこだわり続けます。
しかし、ジョバンニさんは伝統にはこだわりますが、設備は最新のものを取り揃えています。

「カビが適当な湿度をキープするなどというが、あれはワインに余計な匂いを付けかねない。」

として、カンティーナの中はどこも清潔に保たれています。

「良いものを造るには、デリケートな配慮と、その積み重ねが全て。」

彼の一つ一つの言葉には、彼が守り続けてきた伝統の重みを感じます。